ベトナム輸出時の税制について解説

ベトナム輸出時の税制について解説

ベトナムへの輸出に関係する税制

ベトナムに製品を輸出・販売する際に抑えておくべき、ベトナムの関連税制をご紹介します。
ベトナムの税制は日本と異なる特徴があり、知らないと予想外のコスト負担が発生することもあります。
ベトナムに輸出(輸入)する際に掛かる税金には、

1.輸入関税

2.付加価値税(VAT)

3.特別消費税

4.環境保護税

5.外国契約者税

など複数あり、5の外国契約者税以外は基本的に輸入者側が負担する税金ですが、ベトナムでの販売価格に影響するため、
輸出時に計算しておきたいコストとなります。

 

①ベトナムの輸入関税

関税率は品目と相手国の組み合わせで決まります。
日本とベトナムは下記の経済連携協定(EPA)を締結済みです。

1.日越経済連携協定 (JVEPA) -日本とベトナムの2国間協定
2.日本・ASEAN包括的経済連携協定 (AJCEP) – 日本とASEANの多国間協定
3.CPTPP協定 (TPP11) – 環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な11カ国の協定。ベトナムは2019年に発効

EPAには関税削減・撤廃スケジュールに従って関税が削減・撤廃されるシステムがあり、これを適用するためには、日本商工会議所が発行する原産地証明書という書類が必要です。
日本からの輸入品にはこのほか優遇関税率(MFN)が適用されるため、輸出する品目に当てはまる関税率をチェックする必要があります。

 

②付加価値税(VAT)

ベトナムの税制には直接税(法人税、個人所得税など)と間接税があります。
付加価値税(VAT)は間接税に分類され、日本の消費税のように物品やサービスの取引ごとに支払う税金です。
仕入れに掛かるVATは控除可能ですが、ベトナムに輸入する物品・サービスは輸入時にVATが掛かります。
税率は10%で、食料品などの必需品は5%となっています。

 

③特別消費税

タバコやアルコール、自動車・バイクの一部など、特定の商品の生産・輸入・サービス提供に課税される税金です。
タバコは75%、ビールは65%と高率で、そのほかカジノやマッサージ、ゴルフなどのサービスも対象です。
ユニークなものを挙げるとトランプも対象になっています。

 

④環境保護税

環境に有害とされるものを対象とする税金です。
石油(グリースなども含む)、石炭、HCFC(特定フロンの一種)、ビニール袋、使用に制限のある除草剤や
殺菌剤などが対象ですが、各種詳細条件があります。
生産・輸入のタイミングで、KGやリットルなどの量に応じて課税されます。

 

⑤外国契約者税(FCT)

紹介した税金のうち、唯一外国人・外国企業が負担する税金です。ベトナムに住所や施設がなくても支払う義務があります。
FCTの中でも、外国契約者が負担する法人所得税(CIT)と付加価値税(VAT)と分類することができます。
※外国契約者が個人の場合には個人所得税(PIT)とVATです。

FCTの対象は、ベトナムの個人・法人にベトナム国内でサービスを提供する取引です。ソフトウェアの譲渡やインターネットサービス
などは該当する可能性がありますが、物品の輸出は基本対象外です。
但し、引き渡しがベトナム国内で行われる取引(DDP/DAT/DAPなど)は、輸出者が国内運送を提供するので、課税対象になります。
また、販売する商品に付随するサービス(無償サービスも含む)として、据付・試験・メンテナンスなどをベトナム国内で提供する
場合も課税対象です。

納税方法は、取引の際にベトナムの契約相手方がFCTを源泉徴収するのが一般的です。
製品やサービスの代金の支払いの際に、FCTを差し引きます。
輸出者は代金の内訳をチェックし、税金が源泉徴収されていることを確認することが重要です。
FCTの詳細は日本貿易振興機構(ジェトロ) 「ベトナム税務Q&A」に詳しく記載されています。

参照:ベトナム税務 Q&A 

 

ベトナム市場に進出する際の税金

ベトナムに支店などの拠点を作って活動すると、法人所得税(CIT)が課税されます。
また、年間183日以上ベトナムに滞在すると、個人所得税(PIT)の対象になります。
個人所得税は累進課税で、日本の給与水準では日本より高い税金を課されることに留意が必要です。

 

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