ベトナムのキャッシュレス決済は進んでる?近年の動向と気になる最新状況

ベトナムのキャッシュレス決済は進んでる?近年の動向と気になる最新状況

キャッシュレス化が世界中で広がりを見せている中、キャッシュレス後進国といわれた日本でもこの2−3年でようやく浸透
してきました。では、現金主義のベトナムはどのような状況でしょうか?本記事では、ベトナムの決済動向と最新事情に
ついて解説します。


政府が推進するキャッシュレス化計画

ベトナムでは2006年にキャッシュレス決済が開始、2008年には電子決済が導入されましたが、政府はさらなる
キャッシュレス化を推進すべくキャッシュレス化計画を策定。現金決済の割合を2020年末までに90%から10%未満
とするという目標を設定し推進してきました。

このキャッシュレス化の目的として、現金取り扱いに対するコストの引き下げ、決済や所得の透明化(腐敗、経済犯罪
の縮小)が挙げられます。
数値目標としては、POS(決済端末)の台数を増やし、「スーパーやショッピングモールへの100%導入を目指す」、
「都市部での普段の買い物でキャッシュレス決済50%を目指す」などが設定されていました。

ベトナムでは現在、EC市場が非常に盛り上がりを見せていますが、決済手段としてのキャッシュレス化の割合は、
2019年時点では全体の11.49%(ベトナム中央経済研究所のレポートより)となっており、まだまだ課題が多いのが実情です。


キャッシュレスの普及に対する課題


1
、カードまたは電子決済システムの整備が引き届いていない

ベトナムでは食料品などの日用品は小売店舗で購入することが多いですが、これらの中小企業の店舗にはPOS(販売時点情報
管理システム)が導入されておらず、現金支払いに限られる場合が多いため、結果的に現金決済の割合が高くなっています。
近年はスーパーやコンビニのチェーン拡大があるものの、発展途上であることから露店や市場などの伝統的小売は依然として
根強く、とくに都市部ではストリートフードの人気が高いため、これまでのライフスタイルの急激な変化は考えにくいようです。
キャッシュレス決済の普及には、このような小規模の事業者が導入できるような対策や補助が求められています。


2
、クレジットカード保有率が低いこと

上記のようなライフスタイルから、ベトナムは長らく現金主義が主流であり、クレジットカードの普及の遅れが指摘されてきました。
2019年のベトナム国家銀行の調査では、銀行口座の保有者は4,300万人で、人口(15歳以上)の約63%と報告されています。
2014年の調査では31%だったため、2倍に増加していることからも、拡大傾向にあることはわかります。
しかし、依然として他国と比較すると保有率はまだ低く、銀行口座が必要なクレジットカードはあまり普及していません。一方で
スマートフォンの普及率は高いため、銀行口座開設が不要なスマホ決済を政府が後押ししていることが、QRコード決済の急速な
普及に繋がっていると考えられるでしょう。



ベトナムにおけるキャッシュレス決済の展望

最近のベトナムでは、キャッシュレス決済の中でもQRコード決済が急成長しています。ユーザーを対象としたアンケートでは、業界
最大手の電子ウォレットアプリ「MoMo」や「ZaloPay」が上位に選ばれています。35歳以下の若者が総人口の70%以上を占める
ベトナムでは、QRコード決済が安全で簡単であるとともに、スマートフォンの普及率が高いことが影響してQRコード決済拡大の
後押しとなっています。

現在ベトナムでは、70社以上の銀行やネットサービスがキャッシュレス決済サービスのシェアを争っています。中でも、MoMoは
銀行口座を持たないユーザー層を獲得し、シェアを着々と伸ばしています。ベトナムのキャッシュレス決済事業には日本の大手
企業も乗り出し、NTTデータはベトナムのPayoo、VNPTPayに出資を行っていることからも、今後ますますの発展が期待されます。

また、多くの企業がベトナムのキャッシュレス市場をビジネスチャンスと捉えて手を広げており、どのサービスや企業がリードして
いくか注目したいところです。ベトナムでBtoC(Business to Consumer)のビジネス展開を検討中の企業にとって、
キャッシュレス決済への対策が今後ますます重要になるでしょう。

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