ベトナム所得分布を解説
上位中間層拡大に商機あり
ベトナムの所得分布は中間層が急成長
ベトナムでは、超富裕層(住居以外の資産3,000万US$以上)が、2019年から2024年の5年間で64%増える見通しです。
参照:ベトナムの超富裕層人口、今後5年で+64%増―増加率世界3位
近年、事業をグローバル展開するベトナム人実業家が増加しており、ミリオネアの拡大の要因になっているようです。富裕層(35,000~2,999万US$)についても2020年には1,000万人に達する見通し。
そのため、商品を高級化するなど差別化の必要性が指摘されています。
さらに注目されているのが中間層(同5,000~34,999US$)の増加です。2000年の中間層は約10.4%。2018年には約47.2%に伸びています。とくに目立つのが上位中間層(10,000~34,999US$)の拡大で、富裕層と変わらない生活水準を実現しつつあります。
参照:平成31年度国際ヘルスケア拠点構築促進事業(国際展開体制整備支援事業)※スライド8
中間層は、購買意欲が非常に高く、ある程度のお金を支払っても高品質・高性能の商品を求める傾向があります。健康に対する意識も高く、日本製の食品や農産物を信頼している人が多いことも中間層の特徴です。そのため近年は、中間層をターゲットとした日本製商品の販路拡大が計画されることも増えてきました。
ベトナムの地域ごとの所得分布の傾向
ベトナムの二大都市であるハノイ市とホーチミン市では、所得分布の傾向に違いがあります。所得そのものはホーチミン市のほうが高いものの、富裕層の比率はハノイ市が逆転。全国的に事業を展開していても、ハノイ市を生活拠点に選ぶ傾向があることが理由のひとつ。ハノイ市は政治都市であるため、投資で成功した役人が富裕層に含まれていることも考慮する必要があるでしょう。
同時に見逃せないのが所得格差の拡大です。経済的な発展が著しい都市部であっても、物乞いをする人や、物売りをする子どもに出会うことは珍しくありません。中間層は、同5,000~34,999US$と定義されていますが、実際に所得の伸び率が高いのは上位中間層。ベトナム人全体の所得が増えているわけではないようです。
ベトナム人のなかでもとくに貧困層が多いのは山岳地帯や高原地帯です。ベトナムでは、中間層や低所得層の若者を中心に、よりよい職に就くために都市部に移動する人が増加。その結果、所得を増やせるケースも少なくありません。しかし、山岳地帯や高原地帯の貧困層は、そのまま滞留することが大部分で、状況を変えるチャンスに恵まれていないようです。
所得分布の変化による消費の拡大
ベトナムでは、富裕層の拡大により余暇を楽しむ習慣が生まれ、高級レストランやリゾート施設などの娯楽産業が急成長しました。また、上位中間層から富裕層にかけて海外旅行のニーズが高まっていることから、日本でもベトナム人旅行者を受け入れる体制が整えられつつあります。
また、富裕層に加えて中間層が増えたことにより、車、冷蔵庫、エアコンの所有率が拡大。洗濯機については、低所得層も含めて幅広く普及しています。家電の価格は、ベトナム製と日本製では大きな開きがありますが、とくに上位中間層から富裕層にかけては、あえて日本製を選ぶ傾向が見られます。
最後に
私たちシングラでは、国内マーケティングで培ったノウハウにより、日本とベトナムの架け橋として、ベトナムでのビジネスを検討中のクライアント様を支援しています。ベトナムでの事業展開については、ぜひお気軽にご相談ください。