大型EPA「RCEP」とは?メリットと課題を解説!

大型EPA「RCEP」とは?
メリットと課題を解説!

RCEP協定は日中韓、ASEANを中心とした大型EPAです。日本・中国・韓国の初EPAとして注目されています。
本記事ではRCEPの概要、メリット、問題点をわかりやすく解説します。

RCEPとは何か? 

RCEPは2020年に日中韓と、ASEAN(東南アジア諸国連合)加盟国、豪州、ニュージーランドの15ヶ国が署名したEPA(経済連携協定)です。

RCEPとは”Regional Comprehensive Economic Partnership”の略。日本語の名称は「地域的な包括的経済連携」です。
内容を簡単に紹介すると、関税の削減・撤廃、貿易・投資のルールや著作権保護などにより相互の貿易を自由化することを取り決めています。
今後各国が批准手続きを進め、2021年末~2022年頃に発効する見通しです。

この協定に合意したことで、世界のGDP、貿易総額、人口の約3割を占める自由貿易圏が誕生しました。
RCEPでは地域の貿易と投資の促進、物品・サービス貿易、知的財産、電子商取引、原産地規則など20分野にわたるルールを整備。工業製品を中心に関税が撤廃され、関税撤廃率は約91%に上りました。日本はRCEP域内での自由貿易拡大を経済発展の足がかりとすることを考えています。

インドは対中貿易赤字が拡大することを懸念。2019年11月に交渉離脱を表明したため、インド抜きでの協定発効が予想されます。新型コロナウイルスの感染拡大の中、ASEAN議長国のベトナムがオンラインで署名式を主催し、式の模様は15ヶ国をテレビ会議でつないで行われました。日本からは菅義偉首相が参加し、梶山弘志経済産業相が署名しました。国家間のスムーズな移動にはなお時間がかかるとされていますが、ベトナムをはじめASEAN各国はさらなる経済拡大を期待しています。

RCEP加盟国

RCEPの加盟国は以下の15カ国です。
・東アジア:日本、中国、韓国
・東南アジア(ASEAN):ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム
・オセアニア:オーストラリア、ニュージーランド
インドは交渉に参加していましたが途中で離脱しており、希望すれば交渉を開始することになっています。

RCEPの注目ポイントは、日本・中国・韓国の間で初めてのEPA(経済連携協定)という点です。日本の貿易相手国ランキング第1位の中国、第3位の韓国を含み、日本の貿易額の約5割を占める地域をカバーするEPAになっています。

RCEP経済圏の規模

RCEP経済圏の規模は以下の通りです。(出典:外務省、2019年)
・人口 22.7億人
・GDP 25.8兆米ドル
・貿易総額(輸出) 5.5兆米ドル
人口・GDP・貿易総額ともに世界の約3割を占める世界最大級のEPAです。

RCEPは以前話題になったTPPより大規模なEPAとして注目を集めています。TPPはアメリカが離脱したため、規模を縮小しTPP11としてスタートしました。RCEP経済圏の規模は、インドが離脱した現在でもTPP11の倍以上です。

RCEPの輸出へのメリット

輸出においてまずメリットとなるのは関税の撤廃・削減です。RCEPで関税が撤廃されるのは、自動車部品や一部の家電、中国・韓国向けの日本酒や焼酎など。段階的に税率が引き下げられます。

参加国全体での関税の撤廃率は品目数で91%と、TPP11と比較するとRCEPでは貿易自由化の水準は低めですが、多くの国をカバーするという特徴があります。
特にメリットが大きいのが、EPAによる低い税率が初めて適用される日本・中国・韓国の間です。東アジアの国を組み込んだサプライチェーンで関税が削減できます。

貿易手続きや電子商取引のルール、著作権などの知的財産権の保護についても規定。同じルールの適用により、貿易取引がスムーズになります。
ベトナムへの輸出の場合は関税率は既存のEPAと同レベルですが、手続きやルールの共通化という面でRCEPによるメリットが期待できます。

RCEPの問題点

輸出にとってはメリットが多いRCEPですが、貿易自由化による国内への問題点を懸念して一部からは反対の声も上がりました。
輸入では日本の関税が下がるので、海外の商品が安く入ってきます。特に心配されたのが農業です。このため、米・麦、牛肉・豚肉、乳製品などの重要5品目などは関税削減・撤廃の対象から除外されました。

RCEPの今後の課題は交渉離脱したインドの参加です。インドは人口13億人の大国で、大きな市場でもあります。RCEPではインドのオブザーバー参加容認や加入円滑化を定め、インドに働きかけています。

最後に

EPAの参加や規制緩和が進むベトナムでは、質が良い日本製品の需要がますます伸びています。
中国や韓国と比べて競合が少ない今がベトナム市場進出の絶好の機会です。

私たちシングラは、これまでに培ってきたデジタルマーケティングスキルとベトナム市場でのノウハウを活かし、日本とベトナムの架け橋としてベトナムでのビジネスを検討中の企業様のお役に立つことができます。

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