ASEAN諸国の人口増加の見通しは?国内市場拡大が期待!

ASEAN諸国の人口増加の見通しは?
国内市場拡大が期待!

ASEAN諸国は人口を着実に増やしながら経済発展を遂げてきました。豊富な労働力から、中国に続く進出先として諸外国の企業から注目されています。
ただし、今後の人口増加率については、国ごとに事情や見通しが異なります。
今回は国連の人口動態統計による2020年時点の最新データと予測を用いながら、ASEANの人口事情についてご紹介します。

※人口の数値はWorld Population Prospects 2019の7月1日時点のデータ、加工は独自

ASEANとは?

ASEANの正式名称は東南アジア諸国連合(Association of South‐East Asian Nations)。1967年の「バンコク宣言」によって設立が宣言された地域の政府間組織です。当初の加盟国はインドネシア、マレーシア、タイ、フィリピン、シンガポールの5か国。現在はブルネイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムを加えた計10か国により構成されています。ASEANの人口は6億6千万人で、世界の約8.6%を占め、EUなど他の地域経済統合体より人口が多いのが特徴です。エリア面積は449万km2で、世界の3.3%を占めています。

ASEAN加盟国は東南アジアにあることは共通していますが、人口、経済発展、宗教、政治体制などは国ごとに事情が異なります。例えば、人口は少ないもののひとりあたりのGDPが日本を超えるのがシンガポールや東南アジアで唯一の社会主義体制を敷いているベトナムなど国ごとに特徴が大きく異なります。また、インドネシア国民の約9割はイスラム教徒で、そのムスリム人口は世界一。政治的に不安定であるミャンマーは最近ニュース等で触れられることも多い国です。

ASEANは人口ボーナス期

ASEANの人口は若い人が多くピラミッド型に近い人口構成や、都市部の住民比率が高いことが特徴です。年齢比率による経済への影響を表す言葉に、「人口ボーナス期」という表現があります。生産年齢(15歳以上65歳未満)の人口比率が増加を続けているか、若年人口が老年人口の比率の2倍以上ある状態を指します。

ASEAN加盟国全体で見ると、2015年頃から両方の条件を充たし、まさに人口ボーナス期の最中にあります。
豊富な労働力が外国の投資を呼び込み、また中間層人口の増加による国内市場拡大が期待できます。

ASEANの人口が注目される理由とは?

これまで中国の経済成長が注目される傾向がありましたが、近年は下降気味という見方もあります。そこで新たに注目されているのがASEAN諸国です。経済成長に加え国民の若さからくる豊富な労働力は、海外進出を検討している企業にとって非常に魅力的と言われています。

ASEANの総人口は6億6千万人で日本の約5倍以上の人口規模とされていますが、そのなかで最も人口が多い国はインドネシアの約2,7億人。出生率の高さにより人口を増やしてきました。2番目に人口が多いのがフィリピンの約1,08億人。アメリカそしてインドに続き、英語話者の人口が多い点でも注目に値します。以下で国別人口ランキングと合わせてご紹介します。

(出典:IMF- World Economic Outlook Databases 2021)

人口が激増するASEAN諸国も

3番目がベトナムの約9,600万人。とくに注目されているのがその若さです。2021年時点の平均年齢は31歳と、かなり若いことが分かります。4番目がタイの約6,900 万人で、バンコクを除くとコーラートの人口増加が抜きんでているとのこと。コーラートでは中心部に大型商業施設の建設や外資アパレル、飲食店の進出が進み、バンコクについでタイで2番目に大きい「コラート経済圏」を形成しています。5番目はミャンマーの約5,400万人。6番目はマレー系、華人系、インド系から成るマレーシアの約3,200万人です。

7番目のカンボジアは約1,650万人ですが、50 年のあいだで人口が約 1 千万人増えるなど、まだまだ伸び代があると言われています。のどかな農業国としての雰囲気が残るラオスは約710万人で8番目。9番目のシンガポールは約570万人と人口は少なめですが、以前から外国人労働者の受入れにより経済を支える仕組みが確立しています。

10番目のブルネイの人口は約43万人です。人口自体は最下位ですが、石油・天然ガスの産出国ということもあり、ひとり当たりのGDPがシンガポールに続く第2位ということは見逃せません。

ASEAN人口増加の各国事情

ASEAN諸国の人口推移の傾向について、一部の国を事例に解説します。

今後も人口の増加が見込まれているのがインドネシアです。2030年まで、世界で 4 番目の人口を維持する見通しとされています。フィリピンもまた人口を急激に増やしており、2025年から2030年のあいだに日本の人口を超えるという予測もあります。ブルネイは、三重県と同じ国土内で爆発的に人口が増えているという状況です。

またベトナムについては、2029年に1億270万人を超え、2049年には1億870万人に達するという見通しがあります。ただし、現在のベトナムは突出した若さを誇っているものの、出生率の低下と急速な高齢化により人口増加のピークがもっと早く訪れるという見方もあります。ベトナムの人口についてはこちらの記事でも紹介しています。

一方、人口増加率が下がると予想されているのがシンガポールです。もともと人口が少なかったものの、出生率の低下および外国人労働者の受入れの厳格化により、増加率が下がると予想されています。タイは10年ほど緩やかに人口が増えていくものの、2029年を境に減少傾向に転じて高齢化が進む見通しです。

最後に

人口ボーナス期のASEAN諸国では豊富な労働力が外国の投資を呼び込み、また中間層人口の増加による国内市場拡大が期待できます。
ASEAN人口3位のベトナムも平均年齢が31歳と取り分け消費に積極的な層が今後も増加傾向にあり、注目されています

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